Archive for 2005
保険業法改正で無認可共済が法規制を受けるようになり、各無認可共済の動向が注目されます。
損保最大手の東京海上日動は、アパート入居者向けの無認可共済の日本厚生共済会と業務提携をします。日本厚生共済会は東京海上日動や同社の生保子会社の保険商品も販売します。従来の無認可共済は保険会社の「敵」とされるのが普通でしたが、法改正後は「味方」にもなるようです。
改正法施行は来年4月。様々な合従連衡が始まっているようです。(全国賃貸住宅新聞2005.11.28.)
住友生命は自社の新契約管理システムを他の生保に販売します。「生保の本職が開発したため使い勝手がいい」とのことですが、ノウハウの塊ともいえる管理システムをライバル会社向けに販売するのは極めて珍しいようです。(日経金融新聞2005.11.10.)
保険業界は何やらグチャグチャになりながら様々な提携が進みつつ新しい年を迎えるようです。
銀行はその窓口で生命保険商品を販売するようになっています。変額年金保険の販売手数料は銀行の大きな収益源になってきています。そして12月22日からは銀行の窓口で販売できる保険商品が拡大します。
新規解禁されるのは、一時払い終身保険・一時払い養老保険・保険期間10年以下養老保険等の生命保険です。銀行の窓口で「終身保険や養老保険はいかがですか」と勧められる時代になりました。一時払い終身保険では初年度8000億円の保険料収入と予想されているようです。一部保険会社は円建てでなく外貨建てによるこれら商品を銀行窓口販売に向けます。
(保険毎日新聞2005.12.9.)
生命保険が収益源になるとみた銀行はどんどんと保険にのめりこんで生きます。広島銀行は生命保険代理店を手掛ける子会社を完全子会社化しました。
(日経金融新聞2005.12.7.)
銀行の保険窓口販売とは別に、銀行子会社が独自に保険販売の展開を始めます。三井住友銀行の子会社で保険代理店の銀泉は独自に来店型保険ショップの店舗展開を始めます。 (保険毎日新聞2005.12.5.)
さて三井住友銀行が融資先へ圧力販売をしたとして公正取引委員会が勧告しました。それが融資条件であることを示唆し「金利スワップ取引」と呼ばれる金融派生商品を売り込みました。弱い立場の中小企業が被害を受けました。「生命保険に入れば融資するよ」なんていう営業にならないよう、祈ります。
「保険金未払い」と報道された明治安田生命保険への2度目の業務改善命令。その最初にあるのは「保険金未払い」ではなくて「ガバナンスの改善・強化」。
実はこの業務改善命令は、問題に対応する能力すら無いアホな経営者をクビにしろという金融庁の命令でした。その経営者は保険金不払い問題の解決もできず、自らは辞任せず、あろうことかそのままで生命保険協会の会長を目指していました。
謝罪反省は当然としても、アホをトップにいただいてしまった同社の現場の人たちには同情します。一人一人として恥じることがないなら堂々と胸を張ってほしいと思います。「バカな大将、敵より怖い」。
11月25日には損保26社に保険金不払いとして業務改善命令。複雑な商品を発売したものの複雑すぎて保険金の支払い方が分からなかったという驚くべきアホな状況。何と26社もがアホでした。最大手の東京海上日動は1万7千件で1億3千万円の不払い。
そして建築確認申請を民営化した結果が、耐震強度偽造大量見逃しの民間検査機関イーホームズです。
民間はみなアホなのでしょうか。郵貯や簡保は民営化しないほうが健全なのかもしれません。
保険評論家大地一成氏が発行する「保険かわら版」という情報紙があります。
明治安田生命の生命保険金未払いについて大きなニュースになりましたが、同氏はこの「保険かわら版」でその実態を分析しています。
ポイントは「災害保険金」のようです。死亡保険金には病気等の普通の死亡保険金の他に災害時のみ支払われる「災害保険金」があります。旧明治生命の災害保険金の支払い額は7年間で85億円から34億円へと6割も減りました。
「災害保険金」は解釈の幅が広く、飲酒過失等については免責のこともありますが、本人が死亡している以上は「そんなに飲んでいない」との立証は難しいのです。この解釈については契約者側は分かりません。保険会社の言い分が通りやすいのでしょう。
また旧明治生命には生命保険金不払いのためのマニュアルもあったそうです。そこには「苦情が一度だけなら支払いに応じないこと」「2回苦情を受けたら支払いに応じること」等とあったといいます。
「大手損害保険各社が社内調査に基づき近く公表する保険金の不払い件数が、1社当たり数万件、金額では数億円程度に膨らむ見通しとなった。いずれも『支払いシステムの不備』を原因に挙げているが、保険を売る際には様々な『特約』の利点をアピールしながら、肝心の支払い管理には注意を払っていなかったずさんさが背景にある。」
(朝日新聞2005.8.25.)
自動車保険料を契約者は払い続けます。しかし保険会社は「対人対物賠償」「車両保険」の保険金は払っても、「臨時費用保険金」や「代車費用保険金」等は積極的に払わないことも当然だったようです。何しろ未払いが「1社当たり数万件」なのですから。
損保各社のホームページには経緯説明と今後の対応が掲示されています。各社とも表現は違うもののほぼ同一内容です。謝り方を事前に話し合って統一したようです。各社とも原因は「システムチェック機能が不十分」だということです。
保険会社一社だけならその会社の個別特殊事情として解決できます。生保で保険金未払いの明治安田生命は個別特殊事情として金融庁が処分しました。
ところが、損保会社のほぼすべての会社が大量の未払いです。これは個別特殊事情ではなく、損保業界として未払いが当然だったということでしょう。
マスコミ各社の追及は甘く報道自粛のように見えてしまいます。損保業界の膨大な広告予算に腰が引けているのか、損保業界の情報操作がうまいのか…。
「近年、業界では競争が加速し、各社がさまざまな特約を開発して売り込んできた。契約内容の確認もれなどが不払いの原因で、わざと支払わなかったのではないとの釈明も業界にあるようだ。しかし、いざ助けが必要となった時に約束が果たせないのでは、何のための保険なのか。」
(朝日新聞2005.8.26.天声人語)
