Archive for 9月, 2004
値下がりした資産は値下がり損を計上しなくてはいけません。それが減損会計です。
減損会計の実務のスタートはグルーピングから始まります。対象資産をグループ分けしてグループ単位で減損処理をします。りそなHDでは営業用店舗を基礎として一定の地域単位にします。伊予銀行は営業店グループ単位にします。相模鉄道は物件ごと店舗ごと等の管理会計の区分によるグループです。
さて損保ジャパンは、保険事業等の用に供している不動産等について、保険事業等全体で1つの資産グループにします。
保険事業を1つのグループとみるということは、本社ビルや全国各地の営業所建物をすべてまとめてひとつのグループにして、保険事業全体のキャシュフローが回っていれば、減損処理が不要ということのようです。
保険事業全体を1つのグループと認識して、保険事業全体のキャシュフローで採算が回っているかどうかとするのならば、各保険会社の本社ビルや全国各地の営業所は実質的には減損処理の対象から外れかねません。
もちろん賃貸不動産や不稼動不動産はこれらと切り離し物件ごとに1グループですから、各値下がり額が一定のルールに従い減損処理につながります。
賃貸不動産を現在価値に引きなおすときの割引率は各社大きな差になっています。損保ジャパンは6.0~9.5%と自ら厳しい数字をだしていますが、北陸電力等は1.8%です。
これでは同じ賃料収益があっても物件の価値として認識する金額は2倍3倍の格差も当たり前となってしまいます。あらためて「時価」とは何なのでしょうか。
減損会計の強制適用(大企業だけです)は2006年3月期です。2004年3月から先陣をきった保険会社は、損保ジャパン一社です。余裕がなければできません。
(リアルエステートマネジメントジャーナル 2004.9月号)
変額年金専門の三井住友海上シティ生命は117億円の増資をして増資後資本金283億円になります。
増資の理由は変額年金が売れすぎて資金繰りに窮したことです。一時払100万円の変額年金を銀行に販売してもらうと、3-5万円の販売手数料を保険会社は銀行に払います。契約者からはこの後ずっと手数料を受け取りますが、契約時手数料はありません。保険料は預かり投資金ですので手をつけられません。
つまり年金販売時の保険会社は手数料を銀行に払うだけで持ち出しなのです。保険会社では変額年金が売れれば売れるほど当座の支払いが増えるのです。
仕方がないから親会社からの増資でまかないます。変額年金専業のハートフォード生命も定期的な増資を迫られているようです。
(日経新聞2004.8.27.)
生命保険大手各社は逆ザヤ価格変動リスクに対応するために基金や準備金の積立を進めます。内部留保の拡大を目指しています。困ったことはこれら準備金の積立等は税務上の損金にはなりません。
多額の積立をすれば苦しくなるのですが、赤字決算にはできません。マスコミによりすぐに「危ない保険会社」にされてしまいますから。だから逆ザヤで苦しくても精一杯の利益計上の決算にします。
任意の準備金積立は税務上の損金になりません。課税利益はその積立分が利益に更に上乗せです。
だから法人所得ランキングでは、逆ザヤで苦しいはずの大手生保が上位に並び法人税を払います。
1位トヨタ自動車・3位日本生命・29位第一生命・75位明治安田生命・165位住友生命。
(日経ビジネス2004.8.30)
保険がたくさん売れれば資金繰りが苦しくなり、苦しいから積立するために法人税をたくさん払う。生命保険会社の決算はよく分かりません。
