Archive for 2001
生命保険会社の中間決算が公表されて、またも週刊誌等で「危ない生保」探しが行われています。個人契約が各社軒並み前年比マイナスになっているなかで、団体保険の新契約の金額が急増しています。日本生命さん対前年比298%増、第一生命さん565%増、住友生命さん470%増、明治生命さん478%増、三井生命さんに至っては2868%増(つまり29倍)。
団体保険とは会社を対象とする保険で、会社が従業員に保険をかけて保険料を払うものと、従業員が負担する格安な掛け捨て保険とがあります。
「保険情報」2001.12.14号には「個人保険の長期不振に追い込まれた各保険会社が団体保険で活路を開こうと営業努力を注いだ」からか、とあります。「まさか!」です。結論は「破綻生保の肩代わりで契約高が既存会社に振り代わった」ことのようです。
団体保険は引受保険会社のシェア調整で契約高を他社に移せます。つまり千代田生命さんや協栄生命さんが破綻したことによりこれらの会社の既契約高が既存会社の新契約高になったのです。同業他社の破綻で業績が伸びたという何とも喜べない構図です。
長期の定期保険を使う法人税節税策があります。「定期保険」というと掛け捨てのイメージが強いのですが、長期の定期保険だと契約当初は積み立て部分がかなりあります。若いうちは余分に保険料を払ってそれが積み立て部分に回ります。その後はその積立て部分が毎年保険料に充当されて、期間満了時には積立金はゼロになります。つまり定期保険でも積立金がかなり大きいのです。特に逓増定期といって死亡保険金が年々増加するものは、解約すると払込保険料総額に近い金額が戻るものもあるようです。
こうした定期保険を法人で契約すると保険料の多くが積立金になるにもかかわらずその保険料は会社の損金になっていました。つまり積立が経費になったのです。しかしかなり昔に課税の網がかかり、以前のような大きな節税メリットはなくなっています。
しかし課税の網には穴がありました。それはガン保険や医療保険です。一定年齢までの払込の終身契約が使われました。同様の効果が生じます。今回これが節税封じの対象となりました。保険料払込期間と保険期間が対応していないもの、例えば60歳まで払込でその後ずっと終身保障が続くものは、9月1日以降に払い込む保険料からはその一部しか損金になりません。たとえ以前からの契約であってもです。
エコノミスト2001.7.24号の特集は「外資系生保を解剖する」。副題に「健全経営の裏に撤退リスク」とあります。変額保険を売りまくったエクイタブル生命は5年半で撤退。エクイタブル生命の契約はニコス生命が引き継ぐものの、そのニコス生命もクレディスイスの傘下に入りました。オマハ生命やコンバインド生命は10年経たずに撤退しています。
エトナはわずか1年半でした。平和生命が破綻して、アメリカのエトナインターナショナルに60億円で買収されてエトナヘイワ生命となったのは、昨年4月。ところがそのアメリカのエトナが12月にオランダのINGに買収されました。INGはすでに日本でING生命として営業しています。エトナヘイワ生命はアメリカのマスミューチュアルに23億円で売られることになりました。(日経2001.7.25・26)
社名は変更されるのでしょうか。生命保険は長い契約です。契約は引き継がれていくのでしょうが契約者は心配でたまりません。
7月に第三分野商品に対する損保会社本体による参入が始まりました。第三分野とは医療保険・傷害保険等の生保と損保の中間分野です。損保会社本体ではこれまで参入できなかった医療保険やガン保険に各会社や各保険会社グループから、いろいろと新商品が発売です。(2001.7.9新日本保険新聞)
かつての保険商品は各社それ程に差がありませんでした。しかし今では大きな差が生じています(文芸春秋8月号「生保新商品を徹底比較する」)。特にガン保険は、軽度のガンについても支給されるのか、診断給付金が何回でもでるのか,入院前の通院にでもでるのか等、大きな差が生じています。
ガン保険ばかりでなく生保各社の主力商品も多様化しています。比較なしで自分に合った保険を選べません。しかし保険業法は比較販売に制限を残しています。昔のように商品に差がない時代はともかくも、現在では顧客にとっても困ったことになります。
生保各社は営業資料として他社との詳細な商品比較表を用意しているでしょうが、その比較表を顧客に提示してはいけないという状況が続いています。
廃案・再提出・継続審議を経てやっとの成立です(日経2001.6.23)。企業は年金債務に苦しんでいますが、401kならば運用リスクがなくなり安心。株式市場は401k資金が安定的に市場に流入するのが魅力。401Kアドバイザー資格取得のための受験講座というビジネスも始まっています。そして個人は自己責任の荒波の中に船出させられます。
今あてにされているのは個人、厳密に言えば個人ではなく個人のお金です。日本の住宅政策は住宅政策でなく景気対策です。個人の為に住宅はどうあるべきかがテーマでなく、景気のためどう住宅を個人に買わせるかです。401Kも個人のためでなく個人をあてにした企業や株式市場のための政策です。
これら政策はそのためのアメ。アメは甘いチャンスですが、体調によっては毒にもなりますヨ。米国の本家401kも元祖REITも、株や不動産がここ10年右肩上がりだったので評判がよかっただけですから
